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注：この旅行記は１９９７年以前の記録を基に作成しており、写真も断りのない限り当時のものを使用しています。従って、現在の状況について保証するものでは一切ありません（「必ずお読みください(ご注意事項）」をご参照願います）。
ローザンヌの住宅街の一画にエルミタージュ財団の美しい邸宅があります。ここは美術展の展示会場として使用されています。私がこの邸宅で鑑賞した展覧会の題名は「グレコからモンドリアンまで スイスのプライベートコレクション」展でした。
この展覧会は１９９６年１月からアーラウ（スイス）、ヴッパータール（ドイツ）、ドレスデン（ドイツ）、ウィーンと回ってきまして、最後にエルミタージュ財団で開催されました。独語仏語ともカタログでは「グレコからモンドリアンまで スイスのプライベートコレクション」となっていますが、なぜかウィーンで開催された時は宣伝のためか「ドガ＝セザンヌ＝ピカソ スイスのプライベートコレクションの名作」展と言う題名が告知やチケットに使われていました。
私は９６年にウィーンに行ったときにバンク・オーストリア美術フォーラムで一度見て、翌年またローザンヌで見ました。題名が違うので別の展覧会かと思ったら、同じ内容だったのでびっくりしました。内容は題名そのままで、まさにエル・グレコからモンドリアンまで揃ってます、ドガもセザンヌもピカソも充実しています、というものです。スイスのコレクター、ヴァインベルク夫妻のコレクション財団が所有する作品群です。
グレコは『キリストの磔刑（ティントレットによる）』で、ヴェニスのアカデミア美術館にあるティントレットの絵をコピーしたものだそうです。モンドリアンもコンポジションが１点と、これは珍しく夕方の積み藁を描いた風景画が１点。この風景画はまるで印象派の絵（なんでしょうね）のようで、モンドリアンってこういう絵も描いていたんだと驚きました。
ドガはオルセーにある『ベレリの家族』のためのデッサン習作が３点ほど、『ド・リュッテ夫人』と言う題の人物画、室内を描いた物２点等々です。セザンヌは２点、うち１点は『セザンヌ夫人像』です。これはウィーンではポスターや切符に使われていました。下を向いた夫人のバストまでの絵で、顔色が何とも印象的な絵です。
ピカソは青の時代の油絵が１点と水彩のヌード習作が１点。青の時代の絵は『棺に入ったカサジュマ』という題の小品ですが、退廃的な死を迎えた友人のカルル・カサジュマ（カサヘマス）氏の死に顔を描いたものですが、他に何点か同じモチーフで描かれたものがパリなどにあるそうです。
その他展示作品の作家名を挙げていくと、ゴヤ、アングル、ドラクロワが各２点、コンスタブル、コロー、ドーミエ、クールベ、ドローニー、ロートレック、ルドン、ゴーギャン、ジェームズ・アンソール、シーレ、ホドラー、ムンク、ヴァロトン（ポスターやカタログ表紙に取り上げられた『劇場の桟敷席』）、ヤウレンスキーなどが１点づつ。比較的多かったのはマティスですが、『腕』という作品ではまるで軟体動物のように曲がりくねった腕が目を引きました。カンディンスキーなど抽象画も多くありました。
エルミタージュ財団では、入り口近くに専用のショップもありました。この展覧会のカタログはドイツ語かフランス語版のみでした。絵はがきは以前の展覧会のものも残っていて、若干の美術グッズも売っています。この財団の建物はやはり邸宅なのですが、常設展はありませんので、年に何度か特別展が開催されます。別棟にはカフェレストランもあります。
場所：Fondation de l'Hermitage
2,rte de Signal,CH-1000 Lausanne 8
tel:+41-21-320-5001
fax:+41-21-320-5071
ｱｸｾｽ：ＣＦＦ（スイス国鉄）ローザンヌ駅前から３番のバス(Bellevaux方面)
に乗って、La Motte下車。坂道を歩いて１０分ほどかかります。また
は国鉄駅前からメトロ線(Metro)に乗って、終点フロン(Flon)駅下車
陸橋を渡ってから右手に折れ３分ほど歩いたサン・フランソワ広場
（Place St-Francois)から１６番のバス(La Clochatte方面)に乗って
Hermitageで下車、徒歩すぐ。でも、一番良いのは国鉄駅からタクシ ーに乗ることでしょう。
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