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『花をたずねて
山へ、村へ、街へ――
すがすがしい
スイスの風があふれ出す
フォト・ガイド・ブック
旅人の心をとらえて離さない壮麗な山並み、
そこかしこに咲きこぼれる色鮮やかな花々――。
山の国スイスは、美しい花の国でもある。
自然への配慮を尽くして敷かれた登山鉄道と５万キロに及ぶ
ハイキング・コースは、美しい自然をすべての旅人に
と願う、この国の人々からの贈り物なのだ。
すがすがしいスイスの風があふれ出すフォト・ガイド・ブック』（帯より）
写真家である著者は、１９８７年に本格的にスイスを訪れてから夢中になり、以降毎年のようにスイスに旅行しては多くの写真を撮影をしているとのことで、掲載されている写真は観光用としてのものだけではなく、街角のスナップやポートレートもあって多彩かつ楽しいものが多い。もちろん題名が「花の旅」であり、様々な場所で撮影された花々の写真も美しく掲載されている。
さすがにプロ写真家の手になる本であり、写真は美しくセンスが良い。基本的には写真集と思って良い。題名だけ見ると、花図鑑のような本かと思ってしまうが、「数千枚にものぼる写真を眺めていると、多くのカットに美しい花が顔を覗かせていることに気づ」き、「スイスは雄大なアルプスの国であると同時に、花々の咲きこぼれる国でもある」ので、「スイスという国を、花を切り口に歩き直してみた」からであり、「美しく咲く花々と、それを愛でる人々のやさしい表情を読みとっていただければ幸い」とのこと。
章立ては、次の通り。
【第一章】山の花
01 グリンデルワルト 自然の大きさと人の慎ましさ （旅のヒント有り）
02 ユングフラウヨッホ アルプスの空に向かう奇跡の鉄道 （旅のヒント有り）
03 ヴェンゲンとミューレン 絶景の村で三名山に酔う
04 シーニゲプラッテ スイスを代表する高山植物園
05 リギ山とピラトゥス山 山の女王とドラゴン伝説
06 ツェルマット そびえ立つ水晶のピラミッド （旅のヒント有り）
07 リーダーアルプ アルプス初のユネスコ世界遺産
【第ニ章】村の花
01 グリメンツとサンリュック 秘境に花を追う （旅のヒント有り）
02 アッペンツェル ヨーデルを生んだ伝統の村 （旅のヒント有り）
03 ロイカーバートとアンゼール ゲーテも泊まった温泉地
04 サースフェー 氷河の懐に抱かれた真珠
05 マイエンフェルト スイスの光と風が生んだ永遠のベスト・セラー
06 トゥルン カリジェ──太陽をつかまえた画家
07 グァルダ エンガディン地方の壁模様
08 フュイー ガイド・ブックに出ていない花の名所
【第三章】街の花
01 チューリヒ 傭兵が築いた世界の金融センター
02 ベルン ゼラニューム咲き乱れる世界文化遺産の街
03 ルツェルン スイス建国より古い歴史を誇る （旅のヒント有り）
04 ジュネーヴ 万人に開かれた国際都市 （旅のヒント有り）
05 モルジュ オードリー・へップバーンが愛した小さな村
06 ヴヴェイ チャップリン、ここに眠る
07 モントルー 伝説のナルシスの丘 （旅のヒント有り）
本文で書かれていない解説やガイドが「旅のヒント」として掲載されている。しかし埋め草としての使い方なのか、必ずしも全てのエピソードにあるわけではない。有用なものが多いので、できれば同じように全てに付けてほしかった。
なお、90頁にランツゲマインデについて「村人全員が参加する議会はヨーロッパ広しといえど、このアッペンツェルだけでしょう。」と書かれているが、これは明らかに間違い。スイスだけでも、取り上げられたアッペンツェル・インナーローデン州の他にオプヴァルデン州（ザルネン）とグラールス州（グラールス）がランツゲマインデを開催している。1997年まではアッペンツェル・アウサーローデン州でも行われていた。しかし、ランツゲマインデについては、今後減りこそすれ増えることは有り得ないので、いずれこの本の記述が正しいこととなるのかもしれない。
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題名 |
『カラー版 スイス─花の旅』
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著者 |
中塚 裕
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発行所 |
中央公論新社
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発行日 |
2003.4.25発行
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読書歴 |
2003.5.13読了
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