ロンドンお疲れ旅行記

【真夏の帝都】


[スイス航空802便機内。8月11日(金)。]

 スイス航空SR802は、ほぼ定刻(12時15分)通りの出発でした。機種はエアバスA310で、結構大きめです。父は窓側に座りたかったらしいのですが、残念ながら、真ん中の4席の内の3つでした。私は飛行機の場合、絶対に窓側には座りません。高いところが嫌いなのです。でも、飛行機に乗るのは好きですから、おかしなものです。

 チューリッヒ・クローテン空港からロンドン・ヒースロー空港までは所要時間1時間45分です。慌ただしくもなく、飽きるほどでもなく、ちょうど良い飛行時間です。私は席に着くと早速、英国の入国カードに記入を始めました。父母の分合わせて3枚です。我々は、この入国カードだけ記入すればいいのですが、周りのスイス人たちは、他に何か記入しています。これは、彼らがパスポート(スイスのは赤い表紙のパスポートで、白十字が描かれています。)を持たずに、身分証明書だけで渡英するからです。スイスエアー・ガゼットEU諸国との協定上、スイス人は身分証明書のみで入国できるのだそうです。

 機内では、簡単な食事も出ました。母は小食なので、ほとんど私が食べてしまいましたが、父は残さず食べています。「入国審査は、別々やろか?」「いや、一緒で構わんよ。」父は、日本語以外ダメなので、いつも心配します。スイス航空は余計なサービス等はないのですが、食事にしても搭乗員の対応にしても一流だなァ、といつも感じます。パン等は暖かいので、ついお代わりしてしまうのでした。

 キャプテンの放送によれば、ロンドン上空もいい天気のようです。父は機内誌「スイスエアー・ガゼット(Gazette)」(不思議なことに、この会社の機内誌はほとんどが英語で書かれています。スイスエアー自体が英語名ですから、当然なのかも知れませんが・・・。)を見ていました。母は居眠りしています。短い時間でも眠れるのだから、大したものです。

[ヒースロー空港。8月11日(金)。]

 着陸もスムーズでした。私たちは、タラップが付けられたエアバスから離れ、エアポートバスに乗り込みました。ターミナルは2番のようです。時計は、1時過ぎを指しています。大陸と英国では時差が一時間ありますので、スイス時間では、もう2時過ぎです。「暑っついなァ!」ロンドンはまるで日本のような暑さです。私も父もブレザーを着ていたのですが、すぐに脱ぎました。

 バスから降りて入国管理ホールまではかなり歩いたように思いました。入国スタンプ「EU諸国用」と「それ以外の国」用にパスポートチェックの列も分けられています。スイスでは出入国はパスポートをちらっと見るだけですが、イギリスはちゃんと質問されます。3人分のパスポートと入国カードをまとめて係員に提出しました。係員は白人女性です。「観光ですか?」「はい。」それだけでした。パスポートには"LEAVE TO ENTER FOR SIX MONTHS ・・・・ 11 AUG 1995 HEATHROW(2)"というスタンプが押されました。

 「簡単やったなァ。」父は上機嫌です。「何で、白人が少ないんやろ?」父は、入国管理官のことを言っているのです。「わからんけど、昔の植民地の人が優先されとるのと違うんか。」私も詳しいことは知らなかったのです。

 私たちは、手荷物だけですから、すぐに税関を通って外へ出ました。外も混んでいます。父母に迷子にならないように言って、地下鉄の方に歩き出しました。荷物も少ないので、地下鉄で行くことにしたのです。この空港にはピカデリー(Piccadilly)ラインが通ってますので、それに乗って、途中乗り換え一回でヴィクトリア(Victoria)迄行きます。私は、小銭も持っていないので、切符を買うために窓口に並び、三人分の「一日券」を買いました。

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