スペインを読もう！ |
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コルドバの女豹 |
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「強烈な太陽。薄暗い路地。カスタネットの響きと闘牛の雄叫びの町スペインを舞台に、ファシストが、王党派が、共産党が、トロツキストが、アナキストが、ＥＴＡが、血で血を洗い、裏切りで裏切りを裂く。−−この恐怖と魅惑の町にいま、黒い情念と極秘の使命を帯びた謎の日本人たちが侵入してきた･･････。大量殺りくと哄笑の、著者会心の短編集。」（カバー裏表紙より） 1986年、直木賞受賞作『カディスの赤い星』を図書館から借りた私は、結局読破できずに終わった。翌年スイスに渡ってしまい、以後今年になるまで逢坂剛の小説を手に取ることはなかった。今、この年齢になって逢坂剛の小説を続けてじっくりと読むことができる幸せを感じている。若い頃には味わえなかった楽しみだと思う。 短編集『コルドバの女豹』には５編の短編が収録されているが、いずれも日本人が登場する。ネタバレになるので書かないが、重要な役どころばかりである。なんだかこの本を読んだ後は自分もスペイン語が話せて、とても情熱的な美しいスペイン娘とお友だちで、しかもケンカにも強いマッチョなスーパーマンになった気持ちになってしまう。 「暗殺者グラナダに死す」では右翼、共産党員、アナーキストの暗殺者入り乱れての大乱闘が描かれる。暗殺者エル・ガローテの意外な正体が待ち構える。記念すべき著者のデビュー作とのこと。表題作の「コルドバの女豹」は、メスキータでの戦いがクライマックス。治安警備隊やＥＴＡが絡んでの内戦当時に隠された宝捜し騒動である。「グラン・ビアの陰謀」はまるで一幕物の舞台劇のようである。グラン・ビアにある床屋内で時の内務大臣を巡り激しい争いが巻き起こる。これもまた意外な結末に唖然となる。「サント・ドミンゴの怒り」は国会占拠事件の後日談となっており、病院に軟禁された事件の首魁の治安警備隊大佐を巡っての大攻防戦。軍と治安警備隊の確執にＥＴＡやファシストまでが絡み合い、病院内で白兵戦が繰り広げられる。「赤い熱気球」はＫＧＢが絡んだ食品テロ事件を扱う。読後は逆にチュロスやオイルサーディンを食べたくなった。いずれも我が同朋の活躍が印象深い。（2004.8.19）
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最終更新日08/11/25 |
