スペインを読もう! |
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スペインの沈黙 |
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「灰色の山巓、裸の曠野、ヨーロッパの辺境スペインーーそこでは歴史も裸で立っている。この国の過酷な歴史と巨人ゴヤへの半生にわたる関心と数多くの旅から生まれた独自の歴史眼が、現代の深間を照射し、ひるがえって虚ろな現代文明を撃つ。「ゴヤから定家に至る、人間の始末のつけがたい宿命に始末をつけようとする作家の作業のモチーフの切実さを決定的に跡づける」(解説より)好エッセイ集。 解説 倉本四郎」(カバー裏表紙より) 四部に分かれている。第一部が「なぜゴヤか?」という『PLAYBOY』誌での1977年のインタビュー。これは著者が大作『ゴヤ』を書き終えてスペインに長期滞在にでかける前に行われたもの。第二部「スペイン便り」はその後1977年7月から78年10月までスペインに滞在したときに朝日新聞に寄稿されたもの。第三部「グラナダ暮らし」は、ゴヤやスペインに関するエッセイ集。そして最後の「歴史について」は、視野をスペインのみならずヨーロッパや日本まで広げたエッセイ集。 裏表紙の宣伝文から想像されるような空虚難解なとっつきにくい文ではない。著者独特の短くわかりやすい文章で綴られた魅力ある一冊である。「アンダルシーア大巡礼」の”エル・ロシーオ”の祭や「ゴヤの墓」の話など、知られざる(いやもしかして有名なのか)エピソードも語られ、同時に著者のスペインに対する思いの深さも伝わってくる。 フランコ体制が終焉してまもない頃に出版された本であり、未だ「ゲルニカ」も帰ってきてはいないが、第二部などは徐々に進む「静かな革命」に対して著者が手ごたえを感じている様子も読み取れる。今読むと確かに過去の出来事ばかりで古さは否めないが、スペインがようやく停滞から前進に向う時代を迎えた時の貴重な日本語の記録なのではないだろうか。(04.08.03)
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最終更新日08/11/25 |
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