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スイス美術館・博物館探訪

美術館外観(ドーム屋根)
美術館外観(ドーム屋根)

セガンティーニ美術館

★サンモリッツ

 サンモリッツにセガンティーニ美術館という有名な美術館があります。サンモリッツ・ドルフの中心部からは外れますが、散歩して行くには最適です。私は冬に2度訪れましたが、とても小さいけれど貴重な美術館でした。

 美術館はレーティッシュ鉄道(RhB)のサンモリッツ駅から徒歩15分ほどかかります。丘に広がる町(サンモリッツ・ドルフ)の外れに建っていて、冬には凍ったサンモリッツ湖上から良く見えます。建物の形がユニークで、屋根がドーム形をしています。

林の中の道
林の中の道

  町の中心部からは外れますが、散歩して行くには最適です。湖畔に広がる下の町サンモリッツ・バートからでも、歩いていけますが、坂道をずっと登りますので、雪の積もっている時はスリップに注意が必要です。ドルフから歩くと、ハイキングコースになっている森へと入ります。雪の森は、メルヘンの世界です。私が最初にこの美術館を訪れたのは1996年1月2日、家族と一緒でした。快晴で、眩しい太陽が輝いており、雪道の散歩は楽しいものでした。二度目に訪れたのは翌年の春で、もう湖の氷も融けかかっており、街中を馬ソリではなく馬車が走っていました。

美術館前からの眺め
美術館前からの眺め

★セガンティーニ

 ジョヴァンニ・セガンティーニ(Segantini、セガンティーニ)という人は、イタリア生まれで、画家となってからスイスに移り住んだそうです。この地方が特に気に入ってサボニンやマロヤに住み、最後はムオタス・ムラーユから歩いて1時間45分ほどのところにある山小屋で絵の制作中に41才でなくなったのだそうです。

 セガンティーニ美術館には、彼の大作3部作である、「生成(生)」「存在(自然)」「消滅(死)」が展示されています。極端な話、この3枚を収蔵するためにたてられたような物です。外見がユニークで、凍ったサンモリッツ湖上からもよくわかります。石造りで、屋根はドーム型、絵になる建物です。また、この美術館の道を隔てた反対側には、冬季オリンピック開催記念碑が建てられています。

冬季オリンピック記念碑
冬季オリンピック記念碑

★セガンティーニ美術館

 玄関正面にセガンティーニの胸像が置かれています。入口は玄関ホール右手のドアを開けて階段を昇った所です。サンモリッツにあるもう一つのミュゼ「エンガディン博物館」と共通の入場券もありました。中は狭く、1階に受付と小展示室、コート掛け、WC等があります。荷物は受け付けで預かってもらえます。2階がドーム屋根の下で、3部作が展示されていました。(他にも小品の展示がされていました。)

 2階の展示室に入ったとき、あっけなく対面できたこの3部作が、やけに大きく見えました。左から、「生成(生)」「存在(自然)」「消滅(死)」の順で並んでおり、この時は、射し込んだ昼の光が「消滅」に当たっていました。当時は真正面に向かって5つ椅子が並んでいました。なぜか真ん中の椅子だけは肘掛けがありました。

 印象派以降の時代で、点描技法のように原色を置いていく方法で描いてあります。特に「自然」の光の描写はすばらしく、感動的でした。私は、最初に訪れた時にはドーム型の屋根の下で、他にだれもいない展示室にボーッと絵を見続けたまま10分ほどもいました。「生成(生)」は牧場の午後、「存在(自然)」は日没の家路、「消滅(死)」は夜明けの葬送、と全く違うシチュエーションの三部作は題名からしても、また一階にあった構想用デッサン(三連祭壇画として考えられていたようです。各絵の上部に半円形の絵が置かれ上の二隅には円形の中に人物像が描かれることになっていたようです。)からしても人間の一生を暗示しています。

『生成』(部分)
『生成』(部分)

 二度目に訪れたときには、1階の展示室にセガンティーニの友人ジョヴァンニ・ジャコメッティ(有名な彫刻家アルベルト・ジャコメッティの父親)が描いた「死の床のセガンティーニ」や、セガンティーニが動物や静物を描いた小品類、「存在(自然)」「消滅(死)」のデッサン、セガンティーニの自画像などが展示されていました。ここにはミラノにある『,二人の母親」』(Die beiden Muetter、牛小屋で赤ん坊を抱く母親を描いた絵)を息子のゴッタルド・セガンティーニが模写したものも展示されていました。また、同じくミラノにある珠玉の一品「生の天使」(Der Engel des Lebens,木の枝の上で赤ん坊を抱いている天使の絵)の下絵も収集されているのだそうですが、これは残念ながら展示が無くて観られませんでした。

 この繰り返される母子のモチーフは明らかに聖母子でしょうが、三部作の内「存在(自然)」にも左隅に母子が描かれています。

 ショップは受付兼任で、絵はがき、ポスター、カード、カタログ(独・伊)、リプロ、関連図書などを販売していました。ポスター用には筒も用意されていました。

注:この旅行記は1997年以前の記録を基に作成しており、写真も断りのない限り当時のものを使用しています。従って、現在の状況について保証するものでは一切ありません(「必ずお読みください(ご注意事項)」をご参照願います)。

参考WEBサイト:

Segantini Museum, CH-7500 St. Moritz(セガンティーニ美術館、日本語)
St.Moritz
(サンモリッツ観光局公式サイト、独・英語、一部日本語)
スイス政府観光局

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写真撮影:モリアーチー

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モリアーチー教授のヨーロッパ雑学講座

最終更新日04/10/09

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