スイス

  秋のルガノひとり旅  

　エピローグ

　最後の夜は、ＦＦＳ駅の「アペルト」へ買い出しに行きました。「アペルト」は日本で言えばコンビニのような店ですが、その当時続々とスイスのほとんどの国鉄主要駅に出来つつあり、日祝日でも開いて（「アペルト」はイタリア語で「オープン」の意味）、夜も１０時まで営業していましたからとても便利でした。

　食料品を中心に、生鮮野菜や果物から一部雑貨までもありますから、特に独身者などには今や欠かせないものになっていました。このような店が特殊なもので終わるのか、スイス人が便利さに慣れて一般のスーパーまで普及していくかはわかりませんが、第三次産業の発達が日米と比較して極端に遅れている欧州も少しづつは変わっていくことは確かな気がしました。　ルガノの「アペルト」にはイタリア語圏らしく、手作りのイタリア風サンドイッチが山積みになっており、私はハムとモッツァレラのパニーニを選びました。

　ルガノでの最後の夜は部屋のバルコニーからゆっくりと夜景でも眺めるかと思いました。　パラディーゾ方面に「ホテル・エデン」の灯が見えます。確か９年前に妻とルガノに泊まったときにも同じホテルの灯が見えたな、とバルコニーの椅子に座りながら思い出していました。『スウィス日記』にも辻村伊助が夜のルガノ湖を見て書いています。「モンテ・サン・サルヴァトーレの上に銀河が仄白く、足もとにパラディソの街の灯が美しい。」

　明日は朝早く出発してまたチューリッヒを経由してフリブールへと帰ることにします。

おわり

　写真撮影：モリアーチー

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最終更新日04/12/08
初掲載告知日01/01/28