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スイスでさえ（というと語弊があるが）ユネスコ世界遺産には６箇所が登録されている（ザンクト・ガレンの旧修道院、ミュスタイアのベネディクト派聖ヨハネ修道院、ベルン旧市街、ベリンツィーナの三つの城等、ユングフラウ・アレッチ・ビーチホルン地域、サン・ジョルジョ山）。翻ってオーストリアはこの本に紹介されているのはなんと三箇所のみである。
「シェーンブルン宮殿と庭園」
「ザルツブルク市街の歴史地区」
「ザルツカンマーグート地方ハルシュタットの文化的景観」
なんとウィーンの旧市街は世界遺産ではなかったのか？ベルン旧市街が世界遺産なのに・・・。いやいや、この本の発行は１９９８年なので仕方がないのである。国士舘大学教授伊藤哲夫氏のこのガイドブックへの寄稿文「多様性を秘めた伝統社会」によれば、「何故か知らないが世界遺産の数をみると、この国の登録数は「実力」と比較して（？）あまりにも少ない」と嘆いている。しかしながら、２００４年２月現在でもまだ３箇所かと言えば、もちろんそんなことはないのである。
「ゼンメリンク峠の鉄道」1998
「グラーツ市街の歴史地区」1999
「ヴァッヒャウの文化的景観」2000
「ウィーンの歴史地区」2001
...と順調に数を増やしており、ハンガリーと共同の
「ノイジードル湖の文化的景観」2001
...までを含んで全部で８箇所登録されているのである。しかし、お隣ハンガリーと同数だが、チェコの１２箇所、ポーランドの１１箇所には負けている。それはつまり、まだまだ当分ネタ切れにはならないということを意味しているのだろう。それほどの文化的奥深さを保っているのがこの国なのである。（2004.2.18）
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