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| カルト教団 太陽寺院事件 | ||||
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『テンプル騎士団、バラ十字団という神秘主義の典型的シンボルで信者をとりこみ、のちに大量死に至らせた驚愕の事件。カルトはなぜ、人を惹きつけ、命を奪うのか。』（カバー裏表紙より） 文庫を手にとると、まずは表紙で驚かされる。いかにもトンデモ本のような（あるいはトンデモ本紹介書のような）宇宙人的なけばけばしい女性の顔。しかも両目には黒い僧衣が描かれているということで普通ではないのである。『９４〜９７年、フランス、スイス、カナダを舞台に前代未聞の集団死事件が起きていた！』というのが表紙の惹句である。 私がスイスへ二度目の赴任をしたのは、９５年だった。しかし、あの地下鉄サリン事件の日、私はまだ新宿にいた。緊急社内放送が流され、地下鉄利用者は注意をするように伝えられていた、新宿駅西口には新聞の号外が柱に貼られ、一体全体何が起きたのか、まったく騒然としていた。まさに日本でオウム真理教の数々の事件が世間を騒がせていたその時期をはさんで、太陽寺院の事件はスイス、カナダ、フランスと、フランス語圏の国々で相次いで起こっている。 フリブール州のシェリーとヴァレ州のグランジュ・シュル・サルヴァン、そしてカナダ・ケベック州で１９９４年１０月に大量の集団死が起こった。これが太陽寺院教団の名が世界的に知られた最初だった。日本にいた私は、フリブール州という名に反応したが、さすがに「シェリー」がどこなのかわからなかった（今でも地図上で発見できていない）。そして、翌９５年の１２月、今度はフランスのヴェルコールという場所で同じく集団死が起こった。この時私はスイスに住んでいたが、フリブールの新聞「ラ・リベルテ」"やローザンヌの「24hr」などが大々的に扱っており、昨年のフリブール州の事件に続く第ニ幕と見なされていたことを記憶している。 翻訳者である著者は、仏語の第一次資料も利用した綿密な調査と大胆な推理で、この猟奇的な事件を立体的に描き出している。また、西洋カルトの定番である神秘主義についても解説を図っている。しかし、結局のところ関係者が全員死亡したこの事件の真相は闇に葬られたままであるらしい。
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最終更新日04/08/24 |
